まず何から始めるのか

『発達障がい』に関する情報は、年々増え続けています。

あちらこちらで講座が開かれて、論文や書籍も毎月たくさん出ていますね。

これだけ支援方法の情報がたくさん出てくると、迷うのは、“はて?最初の一手は何?” なのではないでしょうか。

昔、元上司に「構造化支援って、何から始めていいかわかりません…」と言ったら、「まずは物理的構造化からよ」と教えていただいて、それからずぅっと心の指標にしています。(もちろん評価ありきですよ。)

よい支援のモデルを色々見てきた分、いざ自分がやろうとなると、今この瞬間やり始める行動や手順がわからなくて困っていました。
あまり的外れなことはしたくないし、失敗するのはやっぱり恥ずかしいです。
(元々やみくもにやってみるタイプではないし、そこそこの経験年数だったからプライドもありますしね。)

手順が思いつかない、いわゆる実行機能ってことですけど、案外多くの人がこういう理由で、構造化や視覚支援に対して、足がすくんでいることってあるのでは?と密かに思っています。

だから保護者や支援者からの相談では、「とにかくやってみることが大事」だと話すし、「最初は失敗するから!」と言うこともあります(^^)
些細なことでも何かやってみた人には、心からの大絶賛です。

その人がやりやすいな、と思うことからやってみたらいいのかな、と思っています。
ですが、訊かれた時には、以下のことを言うでしょうか。(相談に来た人や、本人の年齢・状況によります。)

◎「まず、部屋を片付けてみましょうか」
※これこそ、物理的な構造化です。環境調整の一つでもあります。
※注意がそれやすい物を隠したり、テーブルや椅子の配置を変えて刺激を減らします。

◎「カレンダーを壁に貼って、これからの予定を書き込みましょうか」
※幼児期~学童期は巻物カレンダー(byおめめどう)がおススメですけど、まずは家にあるマンスリーのでもOK。
※本人が楽しみにしていること(お出かけやゲームの発売日なと)を書き込みます。

◎「直近の外出は、どんな予定ですか?それを書き出して知らせましょう」
※その場で予定の流れを聞いて書き出し、家で紙やホワイトボードに書いてもらいます。

◎「今日、これから本人に伝えたいことや尋ねたいことはありますか?例えば晩ごはんの時間やメニュー、食べたいおやつとか」
※LINEやメモ、伝言板などに書いて伝えたり、選択肢で選んでもらいます。

◎「すごいね、ありがとう、大好きだよなど、普段口頭で言ってるほめ言葉こそ、紙に書いてみましょうか」
※思春期で親子のコミュニケーションがこじれていたり、本人が自信喪失してるときにオススメしています。

他にも、普段のコミュニケーション場面をお尋ねして、
◎「小さい声で淡々と話してみましょうか」(音過敏)
◎「話題を一つに絞って話しましょうか」(シングルフォーカス)
◎「やってる途中で話しかけるのではなく、やる前に伝えましょうか」(変更の苦手さ)
など、ちょっとしたコツを話すこともあります。
何てことない些細なことですが、これらはすべて()内のような脳機能の特性を基にした支援方法でもありますよ。

ただ一つ、NGなことがあります。
視覚化する際、特に最初は、禁止や注意、周りがしてほしいことは書かないことです。
“紙が出てくると嫌なことを言われる”と学習しますし、そもそも視覚が強いので、ネガティブなことがよりダイレクトに伝わってしまうからです。(悪口が書かれた手紙やSNSコメントを読む不愉快さ、ですね。)

あくまで本人目線で、知りたいこと、お得なことを紙に書いてね、とお話します。(これがなかなか難しいみたいですけどね。)

支援する側にも成功体験が大事です。
どうぞ参考にされて下さいね。


※ここに書いたことは、これまでの実践経験から得た知恵みたいなもので、研究による検証などは行っておりませんし、今後変わりうることもありますので、そのつもりでお読みください。


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