自閉症カンファレンスNIPPON2018 感想

あっという間に12月になりましたね。

この秋は、ありがたいことに研修依頼も多く、ブログの更新が全くできず申し訳ありません。(最新情報はFacebookでどうぞ!)

リアルタイムな感想はFacebookで投稿しましたが、福岡からの参加がもっと増えるといいなと思いまして、タイムリーな報告ではありませんが、こちらでもまとめておきます。

2018年8月25~26日、早稲田大学で開催された自閉症カンファレンスNIPPONですが、『TEACCHモデルに学ぶ実践研究会』として2002年スタートして、今年で17回目だそうです。
前職では繁忙期に重なっていて、なかなか行けずにいたのですが、昨年に引き続いて今年も参加しました。

25日(土)、1日目は海外から招聘の先生方の講演でした。
自閉症の認知特性、TEACCHの最新情報や介入法の紹介も勉強になりましたが、特筆したいのは自閉症の高齢化の研究です。
あまりこれまで語られてこなかったテーマだし、どこか抵抗感があるけれども、現実的に考える必要のある事柄です。

認知特性がどうなっていくのか、一般的な老いと何が共通していて、どこか違うところがあるものなのか。
幾つかの研究が紹介されており、自閉症と定型の老化に違いがあるかないかの比較研究の結果に衝撃を受けました。
成長発達の違いがあるのと同じように衰え方の違いもあるようですよ。
TEACCHの人たちもまだまだ研究段階だとおっしゃっており、論文も少ないそうです。

対策として、就労の充実もですが、健康管理と余暇活動がキーなのかなと理解しております。
身体的な衰えと引き替えに得られる老成や熟達はないものだろうか…とぼんやり考えていました。

自閉症カンファレンスはそういう最新の動きが知れるのでよいのです。

同時にコミュニケーション機器の展示や体験もやっておりました。
自閉症のお子さんが見ている世界について、VR体験もしました。
VRそのものの装着が初めてというのもあるけれども、周りの刺激についついキョロキョロしてしまいます。
音はすごく聞き流してしまい、人(母親)には全く注目できないな~と思いましたよ。
(映像のみはこちらから観られます。)


26日(日)の2日目です。
午前中は実践報告で、全国での取り組みを分科会形式で聴くことができます。
私は「こども」と「おとな」に参加しました。

認定こども園での実践は、クラス全体に向けた視覚支援の例が豊富に紹介されていました。
どの子にとってもわかりやすくすること、その子に個別的に対応することの両者のバランスは、発達段階の知識を踏まえた方向性、ここぞというタイミングを図る等々、力量が要ることだろうなと思います。

また知的に重度のお子さんが多い通園施設からの報告では、実物や半具体物のスケジュールの斬新なアイディアにすごくワクワクしました。
絵や写真がわからない場合でも、スケジュールを理解できる方法はたくさんあり、VTRで子どもが自ら移動していく姿にはホント胸を打たれます。

大学生の報告では、大学とは「混沌から自分で構造化して選ぶ」場所である、と説明されてて非常に納得できました。
大学のカオスぶり、そして発達障がい特性のある学生の特徴や、本人/家族/学校の課題が整理されていたのがわかりやすかったです。

午後は再び海外講師による、自閉症のお子さんの不安の理解と介入方法についての講演です。
私自身も日々の面接の中で、一般の治療技法を、認知特性に合わせてアレンジする必要性を感じています。
視覚化の方法や介入の手順などは非常に参考になり、面接にも取り入れていけるといいなと思いました。
また、問題行動が不安の結果起こることが多い、という視点もなるほどと思ったので、これから自分の頭を再整理していきたいです。


よい実践や最新の研究を聴くと、とても刺激的でエネルギーがもらえますが、同時に、今の私はこれでいいのかな~という焦りも出て来るんですよね。

今回は幸いにも、古くからの友人と一緒に研修を受けにいくことができました。
美味しいご飯の店を見つけたり、色々な支援の話をしたりと、2日間を楽しく過ごせましたよ。

支援を必要としている人に対するとき、さまざまな知識や支援のアイディアが必須です。
TEACCHは色々と誤解も多いですし、日本で広まっているとは言い難い現状がありますけど、実際の現場に役に立つことは間違いないです。(それと、10年前、20年前と比べると、長年の実績と、研究の積み重ねであれこれ進化していますよ~。)

学んだことを共有でき、同じ言葉で話が通じ合える仲間が身近にいるのはありがたいことだし、心強いなと改めて感じます。

今できることを一つずつ、コツコツと積み上げることだと思いながら、誠実に粛々と実践していきたいですね。



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