保護者の相談を長く受けています。
ほとんどの方は、障がい特性の理解や具体的な対応についてアドバイスしています。
障がい受容が主なテーマのこともありますし、将来を見越して障がいをどう捉えるとよいかについて話をすることもあります。
ですけど、たまにものすご~く達人のような保護者に出会うことがあります。
助言はほとんど要らず、反対に私自身が勉強させてもらいます。
ではなぜ相談に来られるのでしょうか。
「今のままで充分やってらっしゃいますよ」
「それでよいのではないですか」
「ちゃんと育ってきていますね」
こちらがそうお伝えする保護者相談もあるよなあ…とふと思いました。
親として今やっていることが、これでよいのだろうかとわからなくなるため、定期的に確認しに来られているのですね。
これもまた保護者支援の一つのあり方なんだと思います。
発達障がいの子育ては、保護者(特にお母さん)が孤独になりやすいです。
熱心に勉強されて、200点満点と言いたくなるくらい上手に対応されている保護者は、あまり多くないために、意外と周りに相談できる相手がいないのです。
どんなに家庭で対応され、色々と準備していたとしても、やはり苦手さは持ち続けますし、ライフステージが変わるごとに新たな課題が出てきます。
数年続けてこそ、成果の出る事柄があります。
その年齢で、経験するべき出来事もあります。
その年齢で経験したからこそ、気づけること、身につくこともあります。
それと、青年期になると、親ができる役割には限界が出てきます。
失敗も含めて、本人自身が試行錯誤しながら経験を積み、学んでいくことが必須です。
新たな環境で新たな壁にぶつかった時、もっとこんなふうしてたらよかったのでしょうか?と、保護者から訊かれます。
ですが、準備のしようがないこと、避けようがないことが起こるのが人生ですものね。
何が正解かわからないけれど、その時その時で最善と思われる手を打ちながら、日々を積み重ねていくしかありません。
ゴールの形が見えないのですから、本当にこれでよかったのか迷うのは当然のことなのです。
「本当に、充分やっていると思いますよ」
その言葉を心から伝えられるためにも、専門家として熟達せねばなと思うのです。
※ここに書いたことは、これまでの実践経験から得た知恵みたいなもので、研究による検証などは行っておりませんし、今後変わりうることもありますので、そのつもりでお読みください。
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