選べることが大事

先日、ご本人さんの外出先での困りごとの相談を受けました。

これまではその都度、家族に電話してたようなんですが、一人でもできる対応方法を助言しました。

それで、ふと思ったのですが、今後もし一人で対応できるようになったとして、家族にSOSの電話をしない方がよいかというと、それは別に連絡してもよいのかなーと。


「家族に電話する」一択しか対処法を知らないことが問題なだけなんですよね。

もし家族と連絡がつかないことが起これば、困ったままです。
反対に、いつもいつも電話があると、家族が負担に思うとがあるもしれません。

本人も頼ってばかりで自分ってダメだなと自信をなくしたり、家族が親身になってくれなくなると悲しくなったりするかもしれません。

かといって、一人で対応できても、心細い気持ちの時には、誰かと話せた方が安心ですよね。

つまり大事なのは、いくつか対処法を知っていて、その時々の状況や気持ちに合わせて、今はこうしてみようかな、と選べることだな~と思ったのです。


これは、他の支援にも言えます。
最近よく話しているのは、表出コミュニケーションの視覚支援についてです。

発達障がいの人にとって、相手から伝えられるときだけでなく、自分から何かを伝えるときも、視覚支援の方がやりやすいです。

ですけど、支援者(時に保護者も)は「口で言いなさい」の一択で教えようとすることが多いんですよね。

気持ちや考えは、書き出すと言いたいことが整理できます。
緊張していても、メモがあると読むだけですし、渡して読んでもらうこともできます。
メールやFAXの方が自分のタイミングでできますし、やりとりがスムーズにいきやすいこともあります。

視覚支援を生活に取り入れて、相互のコミュニケーションを育てていくことが、発達障がい支援には必須なんです。

でも全てを視覚支援だけでやらなければ、とガチガチに考える必要はありません。

これも、口頭で言うのか、メモに残すか、メールをするか、時には誰かに代弁してもらうかなど、状況に応じて自分で選べる方が、より自立的なんだと思います。(一般的に皆さんも、そうしてませんか?)

発達障がいへの支援について、「これがよいですよ」と話すと、「そうでなければならぬ」と受け取られてしまいがちです。
型にはめてしまうのは、本人も周りも窮屈です。

自分で選べるには、まずはそれぞれ経験してみないとです。
やってみて続けてみて、これはよかったなあ、こっちはいまひとつだなあ、こういう場合には使えるなあとか、そんな色んなデータが積み重なっていけるとよいですね。


※ここに書いたことは、これまでの実践経験から得た知恵みたいなもので、研究による検証などは行っておりませんし、今後変わりうることもありますので、そのつもりでお読みください。

 

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