成人期のコミュニケーションの相談

成人期の本人面接では、日々のコミュニケーションをどうしたらいいかという内容の相談になることが多いです。


普段の相談で、私がよく解説していること、教えているコツをまとめてみました。
1.コミュニケーションにおける暗黙の了解事項

場面に応じた具体的な台詞を教えるよりも先に、「そもそもコミュニケーションというものは…」といった暗黙の了解や前提をお話しています。

というのも、本人が自分はコミュケーションが苦手だと思っている分、《定型発達者は完璧なコミュケーションをしている》と誤解して、できていない自分により落ち込んでしまうことがあるのです。

また、物事がスムーズに滞りなく進むことを好む完璧主義的な傾向から、《理想のコミュケーションが存在する》と考えて、想定通りのコミュケーションが行われないことに苛立つ場合もあります。


こういった《コミュケーション》への誤解をまず解いて、暗黙の了解事項を知ることで、コミュケーション上の悩みが随分ラクになっていきます。


主なものを以下に挙げます。


◎コミュケーションは、誰でも経験を積みながら何年もかけて上達していくもの
最初はうまくいかなくて当然、少しずつ練習すればOK

◎100%うまくいくコミュニケーションは存在しない
達成率は30-50%、定型発達者も日々迷っていること
外から見て完璧に見えても、内心うまく言えてないと悩んでることもある
※達成率は私見です。

◎コミュニケーションは相手次第
自分がどれだけ上手に言えたとしても、相手側の理解がなければ伝わらないことがある

◎コミュニケーションとは、お互いに“かけ合い”しながら進むもの
最初から決まってない、プロセスやゴールは予想できない、やりとりしながら作り上げていくもの

◎定型発達者は、気持ちをやりとりするコミュニケーションを行っている
相手に共感や同意を求める、気持ちを伝えたら相手の気持ちや行動が変わることを期待する

◎挨拶や雑談は、親しみや敵でないことを毎日表明する目的がある
情報の正確さや辻褄は重視しない、途中の終了や別の話題に移るのもOK、内容は忘れてOK、同じ話題を繰り返すこともある

◎解決を求めていない、“愚痴を聞いてほしい”という目的の会話や相談がある

◎言葉の定義、意味する範囲は、人によって異なる

自閉スペクトラム症の人は定義が厳密で狭いことが多いが、定型発達者は大まかな意味で捉えている


◎発言内容の有効期限は人それぞれ(数分~数年)

例)「今度ご飯に行こうね」「△△大学目指しています」

一般的には、概ね1か月以上経てば変更の可能性も想定する

また言葉の重み(正確さ、本気度、責任感等)にも人によって違いがある



他にもきっと色々あるかと思います。

コミュケーションには、どんな暗黙の了解があるのか改めて考えてみると、意外な発見があるかもしれませんね。




2.知っててほしいちょっとしたコミュニケーションスキル


話し方講座、コミュニケーション研修、ビジネスマナー本やサイトなど、コミュニケーションスキルを学ぶ方法は色々あります。

これらも、とても参考になると思うのですが、発達障がいのある人が困っていること、知りたいことは、それだけではないように思います。


ここでは、ちょっとしたことだけど、案外知らない、コミュケーションの小ワザ的なものを紹介します。


1回頼んで断られてももう一度頼んでみる

*頼むのは、大体3回まで(内容にもよる)


*一度OKと答えても、後から変更してもいい、断ってもいい


*家に帰ってから、メールやチャットで返事(変更や断る)をする


*その場では保留にして、後から返事をする

「しばらく考えてもいいですか」

「後でお返事したいので、いつまでにしたらいいですか」

「今は頭が整理できなませんので、後でお返事してよろしいですか」

「家に帰って家族に相談してからお返事します」


*ホントではないけど、ウソでもない理由を言って断る

TVを見たい→「用事がある」

自分がイヤ→「家族がダメと言ってる」


断ったのに何度も頼まれたら、下を向いて黙って首を振る(無理して答えようとしなくてOK)


先にお礼やよかったこと(感想)を伝えてから本題に入る(口頭でもメールでも)


クッション言葉

「恐れ入りますが」

「お手数をおかけしますが」

「申し上げにくいのですが」

「お気持ちはありがたいのですが」

(ビジネスマナー本に多数あり)


*相談前相談

「これは誰に訊いたらいいでしょうか」

「どう訊くといいですか」

「質問してもよろしいですか」

「いつならお話できそうですか」


*ちょっと訊く、ちょっと確認するスキル

「これでよかったですか」

「これってこういうことでしたよね」

 


これもきっと他にもありそうですね。


普段から意識せずにしていることもあるでしょうから、こういうワザもあります、があったら、ぜひ教えて下さい。



それと、1.も2.も、私個人の価値観みたいなものが混ざっていると思います。


参考程度に、考えるきっかけとして活用していただけると嬉しいです。





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※ここに書いたことは、これまでの実践経験から得た知恵みたいなものです。研究による検証などは行っておらず、今後変わり得ることがありますので、そのつもりでお読みください。


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