NHK大河ドラマ『おんな城主直虎』を観ています。
最初こそ挫折しましたが、後半からは毎週視聴しており、この時期、最終回に向けて盛り上がりを見せているので、とても楽しみなんです。
実は、SNSでのドラマの感想や解釈が凄く面白くて、それ目当てにドラマを観てるところもあります。
役者や演出はもちろんのこと、特に脚本が大絶賛されているんです。
ストーリーの前半に散りばめられた伏線が、後半になって次々と回収されています。
楽しいことが悲しみに変わり、辛い出来事が希望につながる。
一見何気なく配されたエピソードが、後の登場人物の人格形成や行動に影響を与える。
立場を変えて同じような体験を経ることで気づきを得る。
因果の巡りに過去を悔やみ、未来へ生かす道を探り、選ぶ道に説得力が生まれる。
さらに通説と異なる描き方なのに、最後には史実との辻褄合わせが見事であるなど、緻密な情報収集力や構成力も伺えるのです。(あ、これらは、すべて受け売りですよ~!)
大河ドラマですから、1年かけてエピソードを丁寧に積み重ねることで、意味が多彩で多層なものへと変容し、物語に深みと厚みを加え、観応えのあるものになっているのですね。
これは、カウンセリングなどの継続相談にも通じることだと思いました。
1日24時間さまざま起こる日常を、限られた相談時間ですべてを話すことはできません。
どの出来事を抽出して話し合うかは、相談者本人が選んだり、時にはカウンセラーが問いかけたりします。
相談者が抱えている困りごとは、1回の相談で解決しないことも多いです。1つクリアしても、新たな課題が出てくることもあります。
相談の中で、その人の特性を知り、対応を考え、実践してみて、その結果をまた話し合い、解決に至る道を探っていきます。
1つ1つは些細で凡庸なものだとしても、回を重ねることにより、こうするとわかりやすい、この方がうまくいく、けれど、こうだとつまずきやすい、というエピソードが積み重なります。
そしてそれらをつなげて考えると、これからどうすればよいかの方略が、より見えやすくなっていくのです。
そのプロセスは、まるで物語を紡ぐようだなあ...と思うのです。
発達障がい者は、脳機能の障がいから、視覚的な記憶や思考が得意、中枢性統合(つなげること、関連づけること)が弱い、物事を一つずつ処理するという特性が見られます。
消え去った見えない過去のデータをつなげて振り返ることが苦手で、インパクトのある出来事だけが記憶に鮮明に残りやすい傾向にあります。
もし失敗しても、それが何故起こったかという理由を探し出し、これからどうしたらいいかという対策を考え出すことが苦手です。
失敗だけでなく、自分自身のよさや、うまくいったこと理由を検証することも苦手です。
だから支援者側が、彼らの情報整理や振り返りを手伝うこと、つまり必要な情報を呈示し、過去の経験をつなげてこれからの新たな手立てを一緒に考えること(できれば本人が自力で行えるスキルにすること)は必須の支援だと考えます。
継続相談とは、一つ一つの出来事への手立てを積み上げ、その人の強みや良さなどを抽出し、暮らしやすい工夫というストーリーとしてつなぎ直し、これからの未来に役立てていくプロセスなのだと思います。
そして、続けることで、より深い理解と有効な支援が生み出されます。
それは物語を創作するように、想像力と創造性、俯瞰し構成する力が必要な作業です。
『おんな城主直虎』の脚本家の技量には程遠いですが、自分自身もそういう相談をしていきたいものですね。
...と、考えていたら、そういえば、『ソーシャルストーリー』という支援技法も、ストーリーと呼ぶよなと気づきまして、情報整理とはつまり、物語を作ることなんだな、と納得した次第です。
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