切り替えの3つのタイプ

発達障がいの人たちが、切り替えが苦手だという話はよく聞きます。

玩具やゲームに夢中になって、声をかけてもなかなか来なかったり、
お風呂や着替えなど、次の行動にサッと移らなかったり、
イヤな気分にはまり込んで、抜けられなかったり。

気持ちや行動がすぐに切り替えられないことは、
発達障がいの方によく見られる障がい特性です。

そこで家庭や学校などでよく使われるのが時計やタイマー。
これは、うまくいく人にはビックリするくらい有効です。
けれど、あまり効果が見られない場合も多く、よく相談を受けることの一つです。

これは、時間感覚がわからない、時計が読めない、という問題ではありません。

それで、私はよく「切り替えには3つのタイプがあります」とお話します。
タイプを見分けて対応することで、切り替えへのサポートがしやすくなります。

1.時間で切り替わるタイプ
何時まで、何分間など、前もって時間を決めていると、
きちんと次に行動を移せるタイプです。

先ほど述べたたように、時計やタイマーを用いることで切り替えやすくなります。
残り時間を示す砂時計やタイムタイマーも有効です。

ですが、時間にきちっとしている分、時間通りにいかないと怒り出すこともあります。
なので、「時間は変更することがある」ことも併せて言っておいたり、
「〇:〇頃」「〇:〇~〇:〇の間」など、アバウトに伝える方がいい時もあります。

2.今やってることが終わると、切り替わるタイプ
DVDを観終わる、茶碗のご飯を残さず食べる、プリントの最後の問題まで解く、
など、やってることが最後まで終わると、次のことに取りかかれるタイプです。

物事の100%を目指そうとする完璧主義の特性にもつながります。

中断を嫌がるので、キリのよいタイミングで次に誘ったり、
時間内に終われる量や目標を前もって設定したり、
ちゃんと終わった感が持てて次に移れるような工夫が必要です。

3.次に楽しいことがあると、切り替わるタイプ
次することが、好きなことや楽しいことなど興味関心が持てる活動だと、
行動が切り替えやすくなります。
また、その活動が自分ができそうなことであったり、
手順や見通しがわかっているということもポイントです。

この場合、声かけだけよりも、実際使う物や絵・写真カードなど、
視覚的なものを呈示して誘う方がより有効です。


この3つのタイプは、実際は一人の人に混在してることが多く、
また活動によってタイプが変わることもあります。

 

特に幼児期は、時計がまだ使えませんので、

2.と3.のやり方を組み合わせながらサポートします。

 

そして何より大事なのは、切り替えが苦手なんだなーとゆったり構えて待つ、

という周りの態度です。そのためには時間の余裕も必要です。

 

言われるがままに次から次に行動しても、本人たちは達成感が持ちにくく、

やらされた感や不全感でストレスが溜まりやすいです。

周りも物事が進まず、イライラしてしまいますね。

 

切り替えやすい工夫をすることで、

お互い毎日気持ちよく過ごせるようになるといいですね。

 

 

【おまけ】

この3つのタイプが生まれたきっかけ。

 

私は2のタイプで、仕事をきちんと終わらせないと気が済まず、

ついつい残業しちゃってたのですが、

元同僚は決められた時間にパッと仕事をやめて帰る人でした。

 

不思議でたまらずに観察した結果、1と2のタイプがあるんだなーと発見。

この思いつきを元上司に言ったら、「もう1つあるよ」と。

そうです。元上司は、3のタイプだったのです!

 

そして、見事3タイプにまとまったのでした。

皆さんも周りを見渡すと、あてはまる人がいるかもしれません。

 

 

※ここに書いたことは、これまでの実践経験から得た知恵みたいなもので、研究による検証などは行って 

 おりませんし、今後変わりうることもありますので、そのつもりでお読みください。

※この記事では、コメントを受け付けています。ご意見やご感想などがありましたら、お寄せ下さい。

 ただし、個別の相談にはお答えいたしませんのでご了承ください。